布団を干せた日

感じたことや映画・本の感想など

シン・ウルトラマン<感想・ネタバレあり>

シン・ウルトラマン

50本目

 

ウルトラマン未履修、特撮を通ってきていない初心者の感想です。

ご了承ください。

 

<感想>

面白かったです。楽しく観れました。

 

シン・ゴジラよりもメッセージ性などは少なく感じ、2時間の大人映画を見にいくぞと意気込むと「あれ」と思うかもしれませんが

メインは特撮という気持ちで、子供も大人も共通するメッセージがうまく練り込まれており、日曜日の朝9時の30分コーナーを、レベルをめちゃくちゃ高くして、総集編のようにした感じがしました(現代風な新解釈が入りつつ、うまくまとまっていました)

 

見終わった後にYouTubeなどで考察を少し拝見しました。

・胸元の3分タイマーがないのは、キャラクターデザインの時には本来なかったから

とか、最初に知ってたらもっと楽しめたかもというような

たくさんの小ネタがあったようです

 

特撮、ウルトラマンが好きだった、好きだという方々にはオリジナルを尊重した

新しい解釈を含めた、めちゃくちゃ良い「シン・ウルトラマン」になっているのだろうと

思わされました

 

そして、構図が、、、

カメラワークが相変わらずめちゃくちゃ面白かったです

構図確認だけでもう一回見たいくらいです

 

また、戦闘シーンからの日常シーンのポップ音楽

宇宙に浮かぶ巨大な敵

などなど、庵野さん節を感じるシーンも多くあり、「く〜」となりました!

 

 

先生、私の隣に座っていただけませんか?<感想・ネタバレあり>

49本目

先生、私の隣に座っていただけませんか?

 

<あらすじ>

漫画家のサワコは長期連載を終えた直後、夫と担当編集の浮気現場を目撃してしまう。

次の連載のテーマは「不倫」。実際にシンクロした内容の漫画を夫に見せていく。

妻も浮気しているのか?自分の浮気がバレたのか?と慌てふためく夫。リアルと漫画が交差していく、、

 

といったストーリーです。

 

<感想>

すごい期待してしまっていたので、思ったよりでした。。。

どのくらい期待していたかというと、六本木でやっていた作中漫画の展示会にいったり

実際に映画館に足を運んだくらいです(満席でその時は見れなかった)

 

よかった点は、ひたすらサワコ先生の漫画原稿が綺麗(ネームの書き込みではないですが)

妻の漫画は「アラタアキ」さんという漫画家さんが

夫の漫画は「鳥飼茜」さんが描かれています

 

微妙だった点は、夫の気が弱すぎて、リアクションが面白いくらいになってしまっていた。担当編集者や母といった強い女性が描かれているので、男性も弱くてもいいのかもしれないですが、強さを引き立つためにこそ、もう少し夫に狡猾さや描けないことへの強いコンプレックス、ガチなダメな部分などを求めてしまいました。

 

ラストシーンは、視聴者が夫と同じ気持ちになって、「どっちなの?」と解釈は委ねる系の最後だったと思います。

私的には、結局妻は浮気をしていないのだろうな、派です。

浮気してるの?って思わせたり、してないよって思わせたり

揺さぶることが復讐なのではないでしょうか

 

そして、浮気に対しての復讐というよりは、私だけ描いて、先生も描いてよという長年の

積もったモヤモヤへの復讐と尊敬と描かせたい(描けないんでしょ)(描いたら嬉しい)っていうなかなか入り混じった感情の、別ベクトルの復習なんじゃないかな〜って思いました。

 

 

 

ジャンクヘッド・感想<ネタバレあり>

 

ジャンクヘッド

48本目 

 

(46本目 クルエラ、47本目 ソウルを見ましたが、時間が経ってしまったので記録のみ)

 

去年の3月に公開し話題になった映画

監督が一人で作り上げた自主映画から始まった、ストップモーションアニメ

アマゾンプライムで配信中です

 

<あらすじ>

遠い未来。人間は長寿と引き換えに生殖機能をなくし、ウイルスによって人口は減少。

地下で独自の生態を広げているかつて人間が生み出した人口生命体に生殖のヒントを探るため、地下探検隊の一員として地下に潜入する主人公。

そこで出会う人々や社会、そして戦い、、、

といったストーリーです。

 

世界観・こだわりが素晴らしいです

背景やセットは職人技

 

頭が上がりません

 

コンセプトがしっかりしている、かつ随所に至る作者の突き抜けたこだわりにより、お話の良し悪しとか、もうそんなことが気にならなく領域

(お話はラストとか「え?ここで終わり?」となりますが、三部作の一作目らしいです)

 

あと、わかりやすく、そして面白い構図がたくさんありました

ストップモーションやSF好きな人におすすめです!

 

そして、この作品を一人で作り上げたという熱意やエネルギーは凄まじいので

「何か作りたいけど動けない」とか「やる気ないな」とか

いう人は見て、喝を入れてみてはいかがでしょうか

あちらにいる鬼・感想

あちらにいる鬼

井上荒野

 

<ネタバレあります>

 

帯には瀬戸内寂聴のコメントがのっていました

「作者の父 井上光晴と私の不倫が始まった時、作者は五歳だった。」

 

名前こそ変えてあるものの

作者井上荒野の父親と母親とその恋人だった瀬戸内寂聴のお話である。

 

なんとも、人間らしい人たちのお話だった。

不倫についての罪悪感や憎しみ、善悪など。そういった世で語られるようなところとは違うラインの話であり

私が不倫について知りたかった、読みたかったことが書かれているような気がしたし

その話題を超えて、人を愛することや、生きることについて感じさせてくれるお話であった。

 

読む前は、娘さんはどんな気持ちで書くものなのか。もしも自分だったら到底書けないだろう。などと想像していたが、読後はなんだか嫌悪とかそういうものを超えて、人として3人を捉え、客観的に、そして内面を、愛を持って書かれており、作者の才能に対して、私もみはるやチチのような気持ちになった。

 

私が瀬戸内寂聴のことを知った時はすでに出家された後のことだった。

この小説の中の瀬戸内寂聴はやっぱり魅力的な人で。

ホテルの一室に相談にきた女性に「早く出ていってほしい」と思いながら「バカなことを言わないで」とピシャリというエピソードが好きだ。

ああ、そんなバカなことを言う不倫なら、そんなものはやめちまえ、と私も思った

不倫という言葉は一緒かもしれないが、心で通じている人達なら、そしてそういう人を愛するなら、それはまた別の名前があるのではないでしょうか

 

奥さんとみはるにとって

「私たちの男」

奥さんの

「私のもの」

 

そういった、言葉一つ一つが、とてもしっくりくる表現で溢れていた

 

「夏の終わり」という小説などには、この本に至るまでの瀬戸内寂聴の恋愛が私小説として書かれているようで、私の中で次に読みたい本にランクインした

 

人の関係に名前をつけてしまいがちな人には読んでみてもらいたい。

別に善悪は置いておいて。

誰が可哀想、誰に悪いという人も読んでみてほしい

twitterで恋愛相談して、変な人に捕まったり、yahoo知恵袋で答えのない答えを探したり

そんなことをしている女性がいるなら、この本を読んで、仕事にでも集中してほしい

 

あの子は貴族

45本目

 

「あの子は貴族」

 

U-NEXTで映画を観まくった反動で4月はあまり映画鑑賞、感想記録を残せませんでした。

 

が、ゴールデンウィークには、ずっと観たいと思っていた「あの子は貴族」を観ました。

 

どうでもいいのですが、タイトルの文字から志村貴子さんを連想しました。

 

<あらすじ>

東京のお嬢様育ちの門脇麦と、地方の経済的余裕がない家で育った水原希子

門脇麦の婚約者は実は大学で水原希子と出会い、仲が良かった。

境遇の違う女性2人が自分の人生を生きていくお話。

 

<感想>

予告を見たときに、浮気系かな?と思ったのですが

そういうお話ではなかったです。

キッパリ縁を切る水原希子も高良さんもすっぱりしていました。

 

女性の自立や環境による息苦しさなどがメインテーマです。

 

象徴的なシーンは

ラスト近く

橋の上で向かい側にいるギャル2人と門脇麦が手を振り合うシーンでしょうか

 

自分の置かれた、生まれた環境は選べない物なのですが

私としては、自分で選択できているか、できていないか

という点が、本人の幸福感に直結すると思っています

 

なので、自分で決定して進んでいく

主人公たちの友人2人は地方だろうが、東京だろうが幸せそうに描かれていました

 

ただ、その2人は家庭が理解があったのでは、家庭に余裕があったのでは

 

と思われそうですが

 

主人公2人も諦めずに行動に移し

自分の選択した道を歩んでいきます

 

過去の環境に文句を言いたくなることもあるし、最低と思うこともありますが

 

遅くても、なんでも

自分の道を歩くことしか、人生の正解はないということを

 

改めて感じさせてくれる映画でした

 

私、時々レッサーパンダ 感想 ネタバレあり 「なぜ2002年なのか」

 

私、時々レッサーパンダ(44本目)

 

ネタバレあります!

 

あらすじ

先祖の力で、思春期になるとレッサーパンダになる力が宿る一家

真面目でお母さんの言うことを聞いてきた主人公も、ある日レッサーパンダ

感情が落ち着くと変身は解けるが、感情が荒ぶるとパンダに

学校でも大変だけど、パンダをキャラ化して一儲け

憧れのアイドルのライブに行こうとするけどお母さんにバレて

お母さんもパンダに変身してしまい

自分はパンダ(感情と生きていくことを決め)、お母さんを助けて、自分らしく生きていくまで

 

と言う、あらすじです

 

感情は悪いものじゃない、共に生きていくことで自分らしくもなる

と言うメッセージも分かりやすいのですが、なんでしょう

 

いくつか私は引っかかってしまい、、

 

まず

「なぜ2002年が舞台なのか」

最初の2002年が伏線だと思って、この子が大人になって現在になって、子供が生まれたりして今の話が描かれるのかなとか思っていたのですが

そうでもなく、、、

 

当時13歳で20歳プラスすると、33歳。。娘とディズニー映画をみるお母さん世代を狙っただけにしては、観てる人を引っ掛けてしまうし、どんな戦略があるのか?

と思ってしまいましたが、単純にお母さん狙いなのでしょうか?

 

お母さん狙いにしては、表現が少し単純なところもある気がしますが、それならラストでお母さんがパンダになるのは納得なんですよね

 

ラストは主人公の話ではなくお母さんの話で、、ダブル主人公って難しいですね

 

あと、お母さんのパンダの大きさとかが、設定優先な気もしてしまい、、

 

ミラベルの前後で見たので、ミラベルの方に心が正直いってしまいました、、

 

Encanto (ミラベルと魔法だらけの家) 感想・ネタバレあり

Encanto (ミラベルと魔法だらけの家)

43本目

 

あらすじ

家族には不思議な力がプレゼントされるEncanto家

ただ主人公のミラベルは家族の中で一人だけ、不思議な力を持っていない

疎外感を感じる中で、大事な家や力にヒビが入っていることを感じるミラベル

家族を守ろうとするも、失敗を起こし、家もなくなり、家族の力も無くなってしまい、台無しにしてしまう

家族を守るための魔法だったのに、魔法を守るために家族が無理をしてしまうのを知った一族の長が、自分の失敗を認め、家族の仲が再び結ばれ、ヒビはなくなる

 

という、完璧なストーリーです

 

一つ一つのエピソードにも無駄がなく

引っかかりもない、観客にとても優しい映画です

 

序盤の描写、ミラベルの自分だけ力がない。何者かになりたい。

というシーンで、観ている大半の人は大共感。感情移入できる土台を作り

 

しっかりと家族の力を持つものなりの苦悩(力持ち・強い→休みたい、可愛いものにも憧れる、花を咲かせる・完璧→完璧に頑張ってる。家族のために)もしっかり描きます。

 

そして、おばあちゃん側の事情も描きつつ

 

忍び寄る敵(家に入るひび・弱まる力、が実は家族のひびだったという)

 

構成だけでなく、色使いやCGもめちゃくちゃ綺麗です

最近のディスニーのCG、もう限りなく実写みたいな勢いなんですけど

この映画、色使いがとても綺麗です

 

あと主人公、地味なんですが服装やメガネでキャラクター作りがしっかりされているなと感じます

 

あと吹き替え版の力持ちお姉さんの歌声が個人的にめっちゃ好きです

歌もいいです

 

映画のシーンがほぼ家の中で起こる話なので、狭くなりガチそうなですが

魔法の家で、ドラえもんのポケット的に中はめっちゃ広いみたいな設定で

ちゃんと冒険シーンもありました

 

アナ雪の家族がメイン、主人公に力がない、の流れを引き継ぎつつ

 

ヒロインに好きな男の子がいない、主人公が姫でもない

という設定で

主人公の悩みもすごく等身大のものとなっていて、

ある意味今どきで、

多くの人が共感できる設定だなーと思いました

 

だけど、魔法の家を掛け合わせ、地味になりすぎない話に、、、

 

完成度がめちゃくちゃ高い作品です