テルマ&ルイーズ(ネタバレあり・感想・分析してみた)
テルマ&ルイーズ(34本目)
友達同士の気軽な週末旅行のはずが、道中に事件が起きてしまい、旅行はとんでもない方向に、、、
というストーリです何ですが
ほーんとに良かった!!
ツボでした、、!
おもしろポイントは、、
「どんどん状況は悪くなり、どうなってしまうのか視聴者が気になる」
「まさか死ぬとは思わない、視聴者の期待を裏切るラスト」
「女性2人の気持ちいい友情とコントラストの男性のクズさ」
「状況の悪化と主人公たちの不調・好調が連動しない。主人公たちの導いた捕まらないという選択肢が強すぎる
というところでしょうか
女性の友情もののおすすめを聞かれたらこの作品を教えたいです
何がいいって、ラスト、、
メキシコに逃げ切れるのかなって、なーんて思ってたんですけど
全然違いました
キスをして手を握りながら2人で崖から落ちてしまう
素敵すぎますね
意見はあると思いますが、
完璧な友情だし、キスをすることによって2人の間に友情を超える情を感じさせられました
二人は殺人したり強盗したり、悪いことをするんですけど
レイプ犯、女性を侮辱する→銃殺
ヤリ捨て、全財産を奪われる→強盗
って感じで、基本的に悪によって仕方なくの行動なので、
みてる側としても応援してしまいたくなってしまいます
いい男性は2人
ルイーズの彼氏と分かってくれている警察官
警察のおじちゃんも「痛めつけられっぱなしの女性なんだぞ」
と視聴者の気持ちを代弁してくれています
やられる男性がクズ揃いなので、トラックの運転手が
「お前たち、地獄から来たのか」
なんてセリフは笑ってしまいました
テルマ&ルイーズのタイトルに劣らず、2人のキャラクターがしっかり描かれています
2人の出会いとか、2人の過去とか、そんなことは詳しく書かれていないのですが
テルマは14歳の頃から今の夫と付き合い、夫しか知らない
夫は浮気をしており、テルマを怒鳴りつけている
ルイーズはテキサスで同じようなことがあった、一人寂しく暮らしている
など、2人の今までにも何か虐げられた過去があるのだなと想像はできます
夢見る女の子で専業主婦、男性を見る目がない、雑、何もできない決められない、お酒や男の人が好き
ルイーズ
きっちりした働く女性、男性を見る目がある、整理整頓できる、計画性がある、貯金あり
な感じのキャラクターがしっかりしているからこそ
お金を盗まれて、ルイーズの弱さが出る、テルマ覚醒という流れが痺れるものになりますね
テルマなんて、泣きながらメイク直したり、あんなに痛い目見たのに男性を部屋に入れてしまったり、、甘いのですが、女優さんの演技もあって「あ〜、、もう、しっかりしてよ。可愛いんだから」みたいな気持ちになります
そのテルマが、強盗なんてするもんだからびっくりです
そして、テルマもルイーズも行動にちゃんと理由があるというか、みていて何で?と思わせないのも良かったです
殺人をした後も凹みすぎたり、暗くなりすぎたりするのではなく
悪いことがいい作用をもたらす(テルマ「今すごく目が覚めた気分」「こんな楽しい旅は初めて」)という複雑性が深みをもたらしていると思います
テルマは旅行のことを夫に言えないくらい、否定され続けており、自分で決めることができない女性でしたが、事件をきっかけにバンバン行動して強盗も自分の意思でやっちゃいます
ルイーズが「天性の才能ね」なんてテルマのことを褒めるのですが、テルマにはもった才能がちゃんとあったという描写だと思います
観た後に感想をこうしてブログで書くときに名前を覚えている主人公たちと、誰の名前も2時間観てもうろ覚えだったという時があります
テルマ&ルイーズはしっかり記憶されましたし、ラストの衝撃は本当に強いです
面白かったので、分析していきたいと思います
この映画のラインは
「普通の主婦2人の週末旅行がが殺人犯・強盗犯2人のメキシコ逃亡旅行に」
でしょうか
<ざっくり起承転結>
起
2人で旅行に行く
クラブにいく、楽しい旅行の始まり
承
テルマがレイプされそうになり、ルイーズがその男を殺してしまう
2人で逃げながらこの先を考える
恋人にお金を送ってもらうように頼み、そこまで移動
強盗犯を車に乗せ、部屋に入れてしまうテルマ
ルイーズが指輪をもらう中、テルマは指輪を外す
翌朝、お金が盗まれている
転
テルマ覚醒、強盗犯
警察を交わす
トラック運転手を懲らしめる
居場所がバレる
結
警察に見つかる
追われる2人
壮大な景色
2人で崖から落ちる
分類としては
「難題に直面した平凡なやつ」
(SAVE THE CATの法則)
テルマとルイーズ見ている女性はどちらには自分の中の一部を見出すことができるような設定。(専業主婦とレストランのバイトという普通の女性)
この普通の女性がとんでもない事件に巻き込まれて勇気を出して解決していく
この場合、殺人犯になってしまい、メキシコに逃げることで生きようとする
悪役は2人の逃走を邪魔したり、女性を軽視する男性陣や警察でしょうか
ざっくり起承転結描きましたが、
いつもの絶好調からの失うグラフ(ラストのその後がない)に当てはまらないので「SAVE THE CATの法則」を引っ張り出し、確認していきたいと思います。
第一ターニングポイント→「メキシコに行く」からの、その後に鍵がある気がします、、
・サブプロット
新キャラはのちの強盗(最初はいいやつそう)、お店で食料、テキサスの過去、家に探しにくる刑事
・お楽しみ
車で楽しそうに歌う、若い男の子を拾う、警察から逃れながら
・ミッドポイント(見せかけの底辺)
恋人からのプロポーズ、初めての快感からの
年下男性逃げる、恋人との別れ、お金を盗まれる
・迫り来る悪い奴ら(底辺から絶好調なので上がる)
盗聴仕掛けられる、初めての強盗(によって位置がバレる)、強盗がうまくいきテンションが上がる、トラック運転手に「うるせー」という
・全てを失って(見せかけの絶好調)
アクセサリーを売る、泥棒が捕まる、目的地がバレる、2人で闇を走る、綺麗な景色、ずっと旅行したかった、自分でいられている、逃げ切れそうな未来、死の気配(殺した時の話、過去の話)
・心の暗闇
逮捕されどうしようもない
・第2ターニングポイント
やられる前にやる。男たちには捕まらないという解決策を実行する(2人主人公のなので、心の闇と第2の発起人が別人)
・フィナーレ
警官を閉じ込める、殺したことを後悔してないという、トラック運転手をボコボコにする、ぶっ放して警官たちを振り切る
・ファイナルイメージ
テルマの決断で飛びおりる
あ〜、見せかけの不調からの見せかけの好調か、、と
物語事態の線はこんな感じで当てはまるなとは納得できたのですが
本に書いてあったこととの例外は、
悪が大きすぎる場合は
*悪は一掃されなくても本人たちの中で一掃されればいい
*世界は変わらなくても、主人公たちの世界は変わればいい
でしょうか
ラストがラストなので、その後の様子、とか、成長した2人とかそういうのもなく、盛り上がりマックスで終わってしまう感じです
でも、それが「もっと見たい」とかはならなら終わり方でした
映画館で見たかったな〜て思う映画でしたし、映画館で見た後はしばらく誰にも余計なことを言われずに、余韻に浸りたいなと思った映画でした
脚本家は「カーリー・クーリ」という女性の方です
授賞式で「テルマとルイーズのハッピーエンドを見たかった方々、私にとってはこれがそうです」と仰ったらしいです
いやー、、かっこいい、、
ありがちな
ギリギリ捕まらないで、メキシコに逃げ切って、本当に愛する男性を見つけたり、恋人と再会できたりではなく
絶体絶命の中、親友とキスして自ら飛び降り、逃げ切る
痺れる脚本になったのは、カーリーさんが真に伝えたいメッセージや二人にとってのハッピーエンドを商業的なエンタメではなく、メッセージに沿って打ち出したことだと思います
脚本術やエンタメも大事ですが、しっかりとしたキャラクター、メッセージを感じる映画で、観てよかった一本となりました
彼女のこの後の他の作品は、「愛に迷った時」「ヤァヤァ・シスターズの聖なる秘密」「Hollis &Rae」「デンジャラスな妻たち」「ナッシュビル」「リスペクト」
という作品があるそうなので、今後見ていきたいです